- 自己破産にかかる費用はどれくらい?
- 自己破産の費用に差があるのはどうして?
- お金がなくても自己破産できる?
自己破産に必要な費用は20~50万円が相場と言われています。ただし、これは“同時廃止事件(財産がない破産手続き)”の場合のことです。
財産(家や車など)がある場合の管財事件(少額管財事件)では、100万円以上の費用がかかるケースもあります。とはいえ、独身1人暮らし財産なしの人なら同時廃止事件となり、自己破産費用は安くなるでしょう。
それでも「自己破産するほど困っているのに20~30万円も準備できないよ」と思いますよね。私も当時はそう思いました。
しかし、自己破産を決意した時は貯金ゼロ(むしろマイナス…)でしたが、弁護士さんと委任契約を結ぶことで、毎月の返済額5万円の支払い分を弁護士費用に充てることができました。
※5万円×6ヵ月=30万円!
本記事では「自己破産に必要な費用」と「自己破産費用が準備できない時の対処法」について解説します。
自己破産に必要な費用の目安
①裁判所費用 | ②弁護士費用 | 合計 | |
同時廃止事件 | 1~3万円 | 20~50万円 | 21~53万円 |
管財事件 | 50万円~ | 50~80万円 | 100~130万円 |
少額管財事件 | 20万円~ | 30~50万円 | 50~70万円 |
※スマホでご覧の方は左右にスクロールできます。
※表の金額は目安です。詳細はご依頼を検討中の弁護士事務所にご確認くだざい。
自己破産に必要な費用は①裁判所費用と②弁護士費用の2つに分けられます。そして、表に記した通り、自己破産の種類によってそれぞれの費用(相場)は違います。
ちなみに、自己破産するかどうかは債務者(あなた)の意思で決めることができますが、破産申立てをした後、どの事件で手続きを進めるかは裁判所が決めることになります。
つまり、「同時廃止事件が費用が少なくて済むから同時廃止事件でお願いします」ということはできませんのでご注意ください。
では、それぞれの費用について詳しく見ていきましょう。
①裁判所費用
裁判所費用には以下の3つが含まれます。
- 収入印紙代
- 予納郵便代
- 予納金
この中で最も大きな割合を占める費用が予納金です。予納金が実質的な裁判所費用になります。
※同時廃止事件なら予納金がほぼゼロなので費用が抑えられます。
ちなみに、予納金には“官報広告費”というものが含まれます。これは自己破産後に官報に個人情報を載せるための広告費として破産者が自己負担します。
「官報に個人情報が載る」ということは自己破産するデメリットの1つです。それにかかわらず、自費で掲載しなければならないのは、なんとも複雑な気持ちです。
≫ 自己破産して官報に個人情報が載る※デジタルタトゥーのリスクとは?
※官報に載ってしまうと半永久的に消えない。
▶同時廃止事件の特徴
- 裁判所費用:1~3万円
- 財産(20万円以下の所有物)がない場合に適用される。
- 破産手続開始決定と同時に同時廃止事件になる。
▶管財事件の特徴
- 裁判所費用:50万円~
- 借金総額が5,000万円以上の法人もしくは個人事業主に適用される。
- 裁判所で選出される破産管財人により、財産調査が行われ、債権者に均等に配当される。
▶少額管財事件の特徴
- 裁判所費用:20万円~
- 弁護士が代理人になることが条件。
- 裁判所で選出される破産管財人により、財産調査が行われ、債権者に均等に配当される。
②弁護士費用:20万円~80万円
弁護士費用には以下の2つがあります。
- 着手金
- 成功報酬
弁護士事務所によっては着手金無料で依頼を受けてくれるところもありますが、その場合は成功報酬費用に着手金分も含まれた金額になっています。
▶着手金
着手金とは、弁護士さんが裁判所に行く交通費や、その他もろもろの諸経費です。つまり、自己破産手続きを進めるための実費となります。
例えば、弁護士さんに正式に自己破産を依頼(委任契約)すると、弁護士さんは債権者に対して「受任通知」を送ります。これにより、当日もしくは翌日には債権者(カード会社や消費者金融、銀行など)からの取り立てがストップします。
詳しくは以下のページをご参照ください、
≫ 自己破産までの期間は破産申立てから約4ヵ月!借金の取り立てはいつ止まる?
このように、自己破産が成立する前から弁護士さんは債務者(あなた)に変わって様々な手続きを進めてくれます。
着手金はこうした手続きのために必要な費用になります。
▶成功報酬
自己破産手続きは終わり、無事に免責許可が下りた後に成功報酬を支払います。
ただし、弁護士事務所によっては成功報酬を受け取らず、費用はすべて着手金に含まれるというケースもあります。
※着手金無料で成功報酬にすべての費用が含まれるケースもあります。
成功報酬と聞くと「弁護士の裁量で費用が決まる」という印象を持ちますが、必ずしもそういうわけではないということは理解しておきましょう。
ちなみに、弁護士費用は分割払いOKの事務所がほとんどです。「一括払いが厳しい…」という場合は、支払い方法についてもご相談してみてください。
自己破産の費用が支払えない時はどうすればいい?
毎月の借金返済が苦しくて自己破産を考えているのに「裁判費用や弁護士費用を払える状況じゃないです」という人も多いかもしれません。というか、ほとんどの人はそうですよね。
もし自己破産費用を準備できない場合、以下の4つの方法があります。
[jin_icon_search]自己破産費用が準備できない場合の対処法
- 法テラスに相談する
- 司法書士に依頼する
- 自己破産ではなく任意整理をする
ちなみに、私の場合、委任契約後に借金の返済がストップしたので、返済に充てていたお金を弁護士費用に回すことができました。
[jin_icon_arrowcircle]自己破産前の毎月の返済額は5万円以上!
自己破産すると決めて、弁護士さんと正式に委任契約を結んでから免責が決定するまでの約半年の間に弁護士費用を準備することができました。
でも、返済がストップしても弁護士費用を準備できないケースもあるかもしれません。その時は以下の3つの対処法をご検討ください。
①法テラスに相談する
法テラスに依頼することで、一般的な自己破産に必要な費用の“約3分の1”におさえることができます。また、費用は自己破産手続きが終了するまで“立て替え”てもらうことができます。
▶法テラスを利用するメリット
- 自己破産費用がなくても手続きを進めることができる。
※後払いのため、自己破産手続き完了後に支払う。 - 弁護士を紹介してもらえるサービスがある。
- 生活保護を受けている人は、法テラスを利用すると自己破産費用が“無料”になる。
▶法テラスを利用するデメリット
- 弁護士を選ぶことはできない。
- 法テラスには収入条件がある。
・1人世帯:手取り月収:200,200円以下
・2人世帯:手取り月収:276,100円以下
・3人世帯:手取り月収:299,200円以下
・4人世帯:手取り月収:328,900円以下
※東京の場合
②司法書士に依頼する
司法書士とは、不動産登記・商業登記などの専門的な書類作成のプロフェッショナルです。自己破産を含む債務整理手続きは、弁護士ではなく認定司法書士に依頼することも可能です。
司法書士に自己破産を依頼した場合の費用(相場)は約20~30万円ですので、弁護士に依頼するよりも自己破産費用を抑えることができます。
▶司法書士に依頼する時の注意点
- 司法書士の仕事は手続きに必要な書類作成のみ。
- 破産申立てなどの裁判所手続きは依頼人が自分でする必要がある。
- 司法書士は免責審尋の立会ができない。
③自己破産ではなく任意整理をする
そもそも「本当に自己破産が最適な解決策なのか」をちゃんと考える必要があります。
[jin_icon_search]任意整理とは
- 金利により発生した利息手数料や遅延損害金などの元本以外の手数料をカットすることで借金総額を減額し、減額後の元本を3~5年の返済スケジュールで完済するように債権者と和解する手続き。
- 裁判所を通さずに弁護士(もしくは司法書士)が債権者と直接交渉するため、手続きにかかる日数が短くなりかつ費用を抑えることができる。
- 費用の相場は1社あたり5万円前後。
現在の借入状況や家族構成、自己破産にかかるトータルの費用などを考えると「任意整理のほうが最適」であるケースもあるでしょう。
ただし、家族(子供)がいるような世帯主は慎重に考えるべきです。
「任意整理は借金がゼロにならないからどうせ債務整理するなら自己破産の方が絶対良い」と考えている人もいると思いますが、必ずしもそうとは言えません。
管財事件の場合、自己破産費用が100万円を超えるケースもあります。そのうえで、財産は没収されてしまいます。
自己破産に必要な費用とデメリットを総合的に考慮した場合「元本の返済は残っても任意整理の方が良い」というケースがあるでしょう。
▶任意整理のメリット
- クレジットカードや消費者金融のカードローンの借金は金利が高いため、借金総額を大幅に減額できる可能性がある。
- 裁判を必要としないため、誰にも知られることなく借金問題を解決できる。
※官報に個人情報は載らない。 - 家や車などの財産があっても没収されない。
- 1社あたり約5万円の費用で手続きできる。
※例えば、2社から借入がある場合の手続き費用は約10万円。
▶任意整理のデメリット
- 借金が免責になるわけではない。
※元本の返済はしなければいけない。 - 自己破産と同じようにブラックリストに載る。
※信用情報に”異動”が記録される。 - 住宅ローン、自動車ローン、奨学金などの金利が低い借金の場合は効果がほぼない。
- 借入先が多いと手続き費用が高額になる。
まとめ:自己破産の費用は最低でも20~30万円
弁護士事務所によっても異なりますが、同時廃止事件であれば20~30万円の費用で自己破産できるケースが多いでしょう。
ただし、管財事件もしくは少額管財事件の場合は少なく見積もっても50万円~100万円の費用が必要になります。
例えば、不動産などの資産を持っている場合、もしくはマイホームがある場合などは自己破産費用が高額になります。
この場合、「借金は免責できても自己破産費用の借金(分割払い)が残ってしまう…」というケースも起こりえるかもしれません。
そのため、自己破産するよりも“任意整理で借金を減額”する方が、手続き後の支払い額とデメリットを総合的に考慮すると“最終的な負担が少ない”というケースもあります。
※任意整理の相場は1社あたり5万円。
※裁判所費用は必要なし。
自己破産 | 任意整理 | |
費用 | ・同時廃止:21~53万円 ・管財事件:100~130万円 ・少額管財事件:50~70万円 |
・1社あたり5万円前後 |
メリット | ・借金が全額免責(ゼロ)になる。 | ・借金が減額できる。 |
デメリット | ・ブラックリストに載る。 ・財産が没収される。 ・官報に個人情報が載る。 ・保証人に返済義務が移る。 |
・ブラックリストに載る。 ・元本は返済しなければいけない。 |
※スマホでご覧の方は左右にスクロールできます。
自己破産するメリットは借金が全額免責になることです。つまり、借金がゼロになり返済義務がなくなるってことですね。
ただし、費用が高いこと以外にも表に示すデメリットが伴います。一方で、任意整理の場合は借金の元本の返済は必要ですが、自己破産に比べてデメリットは少な目です。
[jin_icon_arrowcircle]20代独身財産なしなら自己破産でOK?
借入状況などによっても最善策は異なってくると思いますが、どちらにしろ借金問題は早期解決が一番、そのまま放置していると状況は悪化するばかりです。

※私は借金200万円で自己破産しました…。